長崎の墓

近年、様々なメディアで紹介されているおかげで、知っている方もいらっしゃるとは思いますが、ここで長崎のお墓についてお話させていただきます。

長崎のお墓は他県の物と一味違います。
私のいとこ(生まれも育ちも名古屋)はうちのお墓を見てびっくりしていました。
それは、墓石に彫られている文字に金箔が貼ってあり、お墓の横には小さく『土神』という神様が祭られていたからだそうです。
この『土神』、中国文化の名残りと言われています。
それぞれの地域を守り、豊作・大漁・治病などを授け、その土地に功績を残し、徳を積んだ人間が死後、任命されるそうです。
ご先祖様が安らかに眠れるように、ご先祖様の住まいの安全・保安の意味が込められているようですね。
長崎でお墓参りに行く機会があしましたら『土神』様にもお線香とお花をお供えして下さい。

そしてもう一つ、長崎の墓石には金箔が貼られています。
これは金を燃やす、中国盆の風習に由来しているようです。
毎年、中国の旧暦で行なわれるため日程ははっきりしませんが、1日目は僧侶によるお経で釈迦、その他尊者の霊を慰めます。
2日目は同じくお経をあげ亡者や霊を呼びます。
3日目は全世界の霊に対し供物をあげ、迷い出た人に悪戯をしないよう金銀貨や着物等を意味する金山、銀山、衣山などを燃やして米饅頭を天に向けて投げ霊を送ります。
鎖国時代、唐船とオランダ船だけが長崎に限って入港できた約200年間、独占的に中国と結びついていた長崎は中国文化の名残りが多いようです。

長崎ではお盆の夜にお墓参りをします。
提灯を吊しお墓参りをし、祖先の霊が戻ってくるのに迷わないよう、明るくして迎えます。
花火をしたり、爆竹を鳴らしたり、お酒を飲んだりしながらご先祖様の帰りをまつのです。
その光景を目の当たりにした名古屋のいとこは「なんかお祭りみたいだね。」と呆気にとられていました。
よく考えると確かに不思議な光景ではあります。
特に初盆を迎える家はそれはそれは豪華でまるでお祭りそのものです。
提灯を何十個も吊るし、お参りに来てくれた人にビールや飲み物を配って回ったり、花火や爆竹を数十万円分用意してわずか三日で使い切ってしまったりと…。
それに加え、昔はお墓で家族・親戚一同肩を並べて、帰ってきた先祖の霊と一緒に食事までしていたそうです。
名古屋のいとこは「名古屋は結婚式にお金かけるけど、長崎はお盆にお金かけるんだね!」と言っていました。

長崎の有名スポットや観光もいいですが、長崎の地域に残る独特な風習やならわしに目をやるのも面白いかもしれません。

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